好きなものへの温度は高め

情緒を基準に生きている韓国ドラマ好きなOLが書いてます。

愛の不時着 愛するが故の嘘に無駄がない

愛の不時着

※ネタバレあるよ

 

2019年11月くらいから韓国で放送されていた「愛の不時着」がNetflixで公開されてから2日間くらいで徹夜して見終えてしまった...。

 

見る前から絶対にハマる自信があったので、まとめて見れる時間をあらかじめ確保してから視聴し始めた。大正解だった。自分を褒めたい。

 

無駄のない愛のある嘘

一言で言うと、最高で誠実な「愛」を描いたドラマだった。今までよくドラマで描かれてきた「愛するが故のあなたを守るための嘘」による執拗な拗れがなかったのが個人的にものすごく印象に残った。

でも良く考えたら、そういう「拗れ」はヒョンビンの今までのドラマを見るに少ない気がしてきた。シークレットガーデンでも絶対に諦めなかったし。

本人がそういうドラマを選んでいるのか、ヒョンビンにはそういう役は合わないと考えてしまう脚本家、演出家なのか、わからないけれど。

 

この「拗れ」がよく韓国ドラマのラブロマンス、ラブコメ全般に出てくるけれど、この拗れを主人公たちが大きくしない、嘘だと一瞬でお互いが気づき、むしろ相手のその意図とその行動を尊重できるほどの強い絆があるという点をドラマで描いたのが本当にすごいと思った。

 

だいたいこういう拗れの後、他キャラが痺れを切らして「あなたのために○○は嘘をついたのよ!」とバラして元に戻ったりする。

そういうより強い絆を2人に持たすためのスパイスとして使われる拗れが、「愛の不時着」ではスパイスではなく、そもそも2人の間にある愛の深さを視聴者に見せつけるものとして描かれてるのがもう本当にすごく良い。天才。

 

そしてその状況が大きく2回あって、1つ目はセリが結婚して北朝鮮から脱出しようとするために、探しにきたジョンヒョクを追い返すシーン。

ジョンヒョクは何も言わずに立ち去るんだけど、セリの嘘に気づき、気づいた上で、理解した上で立ち去る。

ここでセリに執拗にすがったりしないし、セリを罵倒することもない。ただただ愛する人を尊重しているだけ。

 

2つ目はジョンヒョクが国家情報局にいるとき。北朝鮮から韓国へ来た経緯とその理由をセリと自分の両親に迷惑をかけないために嘘をつく。

それが嘘だとセリ以外も分かるのに、頑固として譲らない。でもセリはそんな嘘をつくジョンヒョクを見て全てを理解する。

なぜそんな嘘をつくのかと問い詰めるけれど、ジョンヒョクは絶対に譲らない。

その嘘をつく理由をセリは理解しているし、なぜ嘘をつくのか分かった上でセリは問い詰めているので、「愛しているから」という前提がセリの中で崩れる事は全くなかった。

 

この2つのシーンで、その愛の深さを見せつけてきた。真正面から。

こんな真正面からはあまり描かれない方法だし、それで見せつけてきたのは本当にすごいと思うし、それを演じ切る2人の主演の力量が本当にすごい。

 

この「拗れ」を長引かせることがドラマの目的や内容に大きく影響させてしまうのは本末転倒なところがあるし、そういうある種の余計なシーンがなくて本当に良かったと思った。

 

ラブロマンスで定番とされるパターンを踏襲せず、真っ直ぐで誠実なな愛を展開し続けてくれたドラマはこの完成度では中々無いと思う。

 

そういうドラマは大体、真ん中に大きく「愛」っていうテーマがあって、その周りの状況や人間関係がちょろっとあったりする。

でも愛の不時着はきちんと、愛以外のテーマを描いている。

親子愛、北朝鮮と韓国の関係、金と権力、夢、兄の死、暴いてはいけない事件、孤独 etc...

 

これだけの要素を持ち込みつつ、16話で完結させるのは難しいものがあるし、中だるみが発生しそうなところで、場面を北朝鮮からソウルに移したタイミングも良かった。

 

もう一度色々なシーンを見ながら振り返りたいけど、わたしには正直、キュンキュンしながら気軽に見れるものではなく、どちらかというとかなり重く感じるドラマだった。

 

もう一度見るのは多分、一年後かも。

それくらい期間を開けないと体力と思考が持たない。